COLUMN

2022.03.06

花粉症とその対策について

【花粉症】

毎年2月から3月の春先になると目がかゆい、鼻水が止まらない、くしゃみが出る、のどが痛い・・等、不愉快な花粉症に悩まされる方は全国に数多くいます。日本全国における花粉症の患者さんの数は正確には分かってはいませんが、2008年の全国疫学調査(鼻アレルギーの全国疫学調査2008)によると花粉症を有する患者さんは調査範囲の29.8%にも上ったと報告されています。例年、2月から4月はスギ花粉が多く飛ぶのは有名な話ですが、3月から5月はヒノキ花粉も出てきます。また6月からイネ科花粉、8月から10月にかけてはブタクサ等の花粉が飛びます。日本では四季がある為に花粉の種類も豊富であり、複数の花粉症が重なってしまうと長期間花粉症に悩まされる事になってしまいます。

特にスギは日本固有種であり、古くから植林されてきました。本州から九州まで分布し、造林面積としては最も広い樹種でもあります。スギ花粉症が日本人に特有の疾患であり、同時に患者さんの数が多い理由です。またスギ花粉の飛散量は気候の影響を受け、年によって大きく変動します。

 

【花粉症と風邪の関係】

以前より、花粉症は季節的に風邪やインフルエンザの流行する時期にも重なり、初期症状が似ている事から鑑別が必要になると言われていました。また、花粉症から始まり喉や鼻の粘膜が傷む事で、2次的に風邪などがひきやすくする可能性もあります。最近では新型コロナ感染(特にオミクロン株)との鑑別が問題になっています。コロナ感染症では発熱は主要な症状の1つですが、一般的には花粉症では発熱は多くありません。また花粉症の喉の違和感は「のどのかゆみ」「イガイガする」といった訴えが多いですが、コロナ感染では炎症による咽頭痛を訴える方が多いです。症状が分からない場合は医療機関の受診を考慮して下さい。

【花粉症の対策について】

1.花粉が体内に入るのをブロックする

最も基本的で重要な対策です。花粉症は体内に入った花粉を抗体が撃退しようとして起こるアレルギー反応です。体内に入る花粉量が多くなると、花粉に対する抗体がたくさん産生され花粉症を発症する可能性が高くなります。花粉になるべく接しない(マスクやメガネ等)、または体内に入ってきた花粉をうすめる(うがい、洗顔等)は基本の対策であり、簡便にできますが効果的な対策でもあります。

  • ①マスクをする

マスクは感染症対策だけではなく花粉症対策としても有効です。マスクの予防効果は報告によって違いますが、吸い込む花粉量を1/3~1/6まで減少させると言われています。特に鼻炎や喉のイガイガなどの症状の対策として効果が期待できます。マスクの種類(不織布、布、ウレタン)やつけ方(鼻マスク、口マスク)、周囲の環境(風の強さ、屋内環境)などによっても影響を受けます。新型コロナ対策も踏まえて正しいマスク着用を心がけましょう。

  • ②うがい、洗顔

外出から帰った後の洗顔やうがいは効果があります。またシャワーの際に軽く鼻腔を洗浄してもよいでしょう。無理に洗浄するよりは、付着した花粉を「薄める」といったイメージで軽く行えば痛みもなく出来ます。

  • ③煙草を控える アルコールを控える

アルコールやタバコの吸いすぎは花粉症を悪化させる恐れがあります。

 

2.内服薬による治療

目が痒い、くしゃみや咳が出る、鼻水が出る等、つらい花粉症症状を抑える薬です。例年、2月頃から花粉症は始まりますが、薬を飲む時期は早いほど効果的であると言われています。内服薬自体は昔からあるもので、使用経験のある方は多いですが、改良や作用機序の異なるタイプの薬剤も開発されて多くの種類が販売されています。抗アレルギー薬によっては、眠くなったり効果が弱かったり、副作用の出現に注意が必要なものもあります。それぞれ特徴がありますので、ご自身の生活習慣や効果の程度に合わせて薬を選べばよいです。他に点眼薬や点鼻薬もありますので、場合によっては組み合わせて使用するとよいでしょう。

 

・第1世代抗ヒスタミン薬:アレルギーの元になるヒスタミンの働きを抑制します。古くからあるタイプの薬です。眠気がでる可能性があり、また緑内障や前立腺肥大症のある方は使用に注意が必要です。

・第2世代抗ヒスタミン薬:第1世代の副作用(眠気、口渇感など)を軽減目的に開発された薬です。現在では花粉症に対して一般的に最も使用頻度の高い薬剤です。製品によって作用機序や効果、副作用の程度が違いますので、自分にあった薬を使用すればよいでしょう。

・抗ロイコトリエン薬・抗プロスタグランジン薬:ヒスタミンと異なる化学物質であるロイコトリエンやプロスタグランジンを抑制する薬剤です。特にアレルギー性鼻炎による鼻づまり、鼻水、くしゃみに効果があると言われています。また気管支の収縮を抑制する作用も持ちます。

・ステロイド:副腎から作られる副腎皮質ホルモンの1つです。炎症の抑制効果が高く、様々な疾患の治療薬として使用されています。よく効く薬ですが、ステロイドとしての副作用があるので、使用の際には医師に相談しましょう。

 

花粉症には1つの対策だけでなく、様々な方法を併せて対策を立てるとより効果的です。また、うがいや手洗い、マスクの着用は風邪やコロナ対策としても大事ですので継続して行って下さい。

横浜市 医療法人 和田胃腸科外科医院